第5回 あんしんオレンジカフェ報告
1.開催日時 令和元年 11月30日(土) 13時30分~15時15分
2.場 所 青葉台共同利用施設
3.出席者 33名
4.講 師 久留米市 特別養護老人ホーム「銀の庵」理事長 岡部悠久子氏
5.お話の内容と質疑応答
(1) 岡部先生のお話の要点
〇年を取ると今まで日常であったことが急にできなくなり、耳や目、足腰に支障が出てくる。日本の老人福祉制度のスタートは1970年の「老人福祉法」からであるがこの中には老人とはいつからなのか年齢は書いていない。(老人の能力は個人差が大きいため)当時は施設よりも自宅で大事にされながら最期を迎えるのが普通だった。
〇認知症とは、いったん獲得した知的機能が脳の司令塔が機能しないため元に戻らない状態をいう。平成16年までは痴ほう症といわれていたが同年から認知症ということになった。
〇平成26年は591万人とされていたが2025年には700万人が認知症になる可能性があるとされている。
〇加齢の物忘れもあるが、これは体験の一部を忘れるので食事で何を食べたか忘れることはあるが、認知症では体験の全部を忘れる、つまり食事をしたこと自体を忘れる。ヒントがあっても思い出せない。
〇認知症は脳の異常で引き起こされる。大別して①脳細胞異常によるもの(アルツハイマー型、レビー小体型、前頭側頭型)と②脳血管障害(脳梗塞、脳出血、脳動脈硬化などが原因)によるもの、がある。
〇症状としては、記憶障害、見当識障害(時間・場所・人物がわからなくなる)理解・判断力障害、失語、暴食、物とられ妄想、徘徊、などが起こる。
〇認知症患者との付き合い方―相手の言われることはすべて正しい、との前提で対応する。その方の味方になる。しかし、話題を変える、お茶でもどうですか?などで先ほどのことは忘れる。暴力的になったときは冷静になるまで待つ。この人は何をしてもらったらうれしいのか、を考える。
〇回想法―昔のことはよく覚えている。昔その人が得意だったことを話題にするとよく話してくれ落ち着いてくる。(お茶作法、お花の道具を置いておくと生けてくれる、餅つきの方法・順序、卓球、など)
〇ユマニチュード―その人をかけがえのない人として扱う。何を望んでいるかを考えて対応する。本人の言うとおりにする。
〇認知症は本人が一番自覚している。自分が自分で亡くなる不安に取り囲まれる。
今の本人の不安に付き合う。最後まで普通に生きてもらう。
<結論>認知症は長生きのご褒美である。人間の杖が必要。大丈夫だよ!というさりげない手助けが必要。いつも「大丈夫だよ」と呼びかける。
(2) 質疑応答
〇お付き合いの仕方は?
――お年寄りはかわいい。一人一人が生きてきた歴史に真摯にお付き合いする。その人のご苦労を思えばいとおしくなる。
〇できることは何でもさせたほうが良いか?
――なんでもに否定しないで受け止めてあげる。その人にとってはしたいことそれが真実。
〇どうしたら予防できますか?
――きちんとした生活を続けること。生活習慣病を治す。アルツハイマー病は初期の人に効く薬もあるので早めに医者に診てもらうこと。
〇家族に認知症が出たらどうするか?
――隠す必要はない。むしろ明らかにして周囲の人の協力を得たほうが良い。
(3) 理事長からお礼
太宰府市には現在約3200人の認知症の人がおりその周辺には約7割の予備軍がいるといわれています。当地青葉台だけでも100人くらいの人がいる計算になります。10年後には10%増、20年後には70%増加の恐れがあり市内で5400人に増えると想定されています。同じ年齢でも女性のほうが有病率が高いそうです。高齢化が進んでいる中、認知症対策は緊急の課題です。私たちのNPOでは今後もオレンジカフェなどを開催していきますのでご協力をお願いします。
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