認知症と新型コロナウィルスとの関係について留意しておくべきこと

最近新聞やネット情報で、両者の関係に関する記事を多々目にするようになった。そこで、いくつかの情報を検索し、どのような情報が提示されているのかを見てみた。

まず大半の記事が、新型コロナウィルスが、認知症の症状を病理的に促進するというより、新型コロナウィルスに罹患しないよう防御する行動や意識が結果として、認知症の症状を促進するという指摘が大半であった。

 このように見ると、認知症でのフレイル対策と同様の行動を取ることが重要であると言えよう。従って、各種記事についても大半が同様の指摘がなされている。

次にその代表的な意見として、一般社団法人日本認知症予防学会理事長浦上克哉氏(鳥取大

学医学部保健学科教授)の指摘の概略を紹介しよう。(この記事は介護士向けのWebメディア『きらっコノート』に掲載されているものです。)

●コロナで外出減る今こそ“運動・知的活動・会話”の3つをと提唱しています。

①1日30分以上の身体を動かす運動や体操をしましょう。

 (例 散歩 (三密にならない場所で)

②御自分の好きな、楽しいことを行うことを日課にしましょう。

 (例 歌を歌う、本を読む、絵を描く、マスク作り など)

③御家族と友人との会話を楽しみましょう

 (例 直接話す際はソーシャルディスタンスを保って、あるいはネットや電話を使って)

つまり特別な行動をということではなく、新型コロナウイルスの終息が長期化し高齢者が閉じこもりがちとなり、それが長期化すると正常な高齢者がMCIへ、MCIの高齢者が認知症へと進展していくことが懸念されると注意している。

●認知症者自身に対する注意することとして。

以上の紹介記事は、予防という視点からの紹介であるが、認知症者自身については、次

のような注意事項が紹介されている。

①認知症の人は、感染予防のための自己管理が困難なため、新型コロナウイルスへの感染リスクが高まってしまうと考えられ、また、認知症の人の多くは基礎疾患があり、感染すると重症化しやすい可能性があるので、介護者自身の対応も当然ながら、厳重な対応が必要とされる。

②新型コロナウイルス感染症の症状として知られている発熱や呼吸困難、嗅覚・味覚の低下といった症状は、認知症の人には自覚しづらいことが知られているので、そのため、周りの方が早期に気づいてあげることが大切である。気づくためのポイントとしては、・食意欲が低下する、・ぼうっしている、・元気がなくなるの3つが指摘されている。

③外出を控えることで、活動量が減少し、日常生活のリズムが狂うと、その結果認知症の人のストレスや不安感が増す。こうしたことは認知機能を悪化させてしまうだけでなく、意識の低下や妄想、暴言・暴力などの症状も加速させ、介護者の大きな負担となってしまうので、今まで通りの生活を続けることが必要である。デイケア、訪問介護、訪問リハビリなどの介護サービスも感染予防に注意を払いながら、これまで通り、継続するべきである。

④密集・密閉・密接を避けて頻繁に運動が必要となる。運動の機会が減って筋肉の衰えなど

も考えられるので、杖を使うなど転倒予防に気をつけて歩くよう注意する必要がある。

以上、認知症の方もそうであるが、家族の方など介護者の方も、自身に対するケアを必要とする中、認知症の方へ配慮も必要となり、精神的・肉体的ストレスも大変であろう。早く新型コロナウィルス対策に明るい兆しを期待したい。